教授挨拶

挨拶|弘前大学医学部 形成外科

弘前大学医学部附属病院

形成外科 教授

漆舘 聡志

形成外科は「体表面の先天的・後天的変形,欠損を修復し,機能的・形態的回復をめざす外科」と定義されており、生まれつきの体表面の異常や、外傷・腫瘍切除によって生じた障害を正常な状態に近づける治療を行っています。このような治療によって患者さんの生活の質(Quality of life: QOL)が向上し、快適な日常生活を送れることが、われわれ形成外科の目標となります。対象疾患は外傷とその後遺症、体表面の先天異常、皮膚軟部組織腫瘍ならびに他診療科の腫瘍切除後再建、美容などです。

当教室は1963年に当時皮膚科学講座に所属していた菅原光雄初代教授が中心となり耳鼻科、眼科、歯科口腔外科の有志とともに形成外科同好会を立ち上げたことに始まります。1969年には皮膚科外来の中に特殊外来として形成外科外来が開設され本格的な診療がスタートしました。1982年には附属病院に形成外科が新設され、菅原教授のもと診療科として独立しました。これは全国の国立大学で6番目という早さでありました。1994年2代目として沢田幸正教授が就任し、1995年には医学部に形成外科学講座が新設されました。私は2012年1月に3代目教授を拝命し現在に到っております。

弘前大学形成外科は前述の様に国内では比較的古い歴史を持つ教室となります。開設当初より青森県の形成外科治療の拠点として診療を行っており、広い分野の形成外科疾患を網羅的に診療できる体制を構築してきました。その中でも特徴的な分野として顔面組織再建に力を入れています。顔面は整容的な結果が最も求められる部位であり、局所皮弁を駆使した整容的再建に重点を置いて新たな術式の開発を行いながら、より満足度の高い再建を目標としています。また乳房再建は近年手術件数が増加傾向にあり、当院の乳腺外科はもちろん、他施設の乳腺外科とも連携してインプラント再建、自家組織再建を行っております。熱傷治療も重要な形成外科疾患であり、培養表皮移植、人工真皮移植等の再生医療技術を用いた最新治療を行っています。特に重傷熱傷の際には救急救命科、麻酔科、リハビリテーション科、管理栄養士等と連携したチーム医療が重要であり、このような体制を整備しております。

チーム医療という面では、末梢動脈疾患や、糖尿病に伴う難治性足潰瘍の治療では循環器内科、心臓血管外科、整形外科、糖尿病内科等との連携が必要となります。また、唇顎口蓋裂治療では耳鼻咽喉科、小児科、矯正歯科、言語聴覚士等とチーム医療体制を構築し集学的治療にあたっています。このように形成外科治療は当科単独ではなく、様々な診療科等のご協力が必要となる症例が多くありますので、関係各所のご協力をいただきながら質の高い医療の提供を目指しております。 最後になりますが、われわれは患者さんに対して安全・安心な医療を提供することはもちろん、全ての患者さんが笑顔で社会復帰できるよう、日々診療・研究に努力しております。今後も地域医療のため,更に精進して参りますのでどうぞよろしくお願い致します。