研修プログラム

弘前大学形成外科研修プログラム

  1. 弘前大学形成外科専門研修プログラムについて
  2. 形成外科専門研修はどのように行われるのか
  3. 専攻医の到達目標(習得すべき知識・技能・態度など)
  4. 各種カンファランスなどによる知識・技能の習得
  5. 学問的姿勢について
  6. 医師に必要なコアコンピテンシー、倫理性、社会性などについて
  7. 施設群による専門研修プログラムおよび地域医療についての考え方
  8. 専門研修プログラムの施設群について
  9. 施設群における専門研修コースについて
  10. 専門研修の評価について
  11. 専門研修管理委員会について
  12. 専門医の就業環境について
  13. 専門研修プログラムの改善方法
  14. 修了判定について
  15. 専攻医が専門研修プログラムの修了に向けて行うべきこと
  16. Subspecialty領域との連続性について
  17. 形成外科研修の休止・中断、プログラム移動、プログラム研修の条件
  18. 専門研修プログラム管理委員会
  19. 専門研修指導医
  20. 専門研修実績記録システム、マニュアル等について
  21. 研修に対するサイトビジット(訪問調査)について
  22. 専攻医の採用と修了

1.弘前大学形成外科専門研修プログラムについて

弘前大学形成外科専門研修プログラムの目的

形成外科は臨床医学の一端を担うものであり、先天性あるいは後天性に生じた変形や機能障害に対して外科的手技を駆使することにより、形態および機能を回復させ患者のQuality of Lifeの向上に貢献する外科系専門分野です。

形成外科専門医制度は、形成外科専門医として有すべき診断能力の水準と認定のプロセスを明示するものであり、専門研修プログラムは医師として必要な基本的診断能力(コアコンピテンシー)と形成外科領域の専門的能力,社会性,倫理性を備えた形成外科専門医を育成することを目的としています。

形成外科専門医の使命

形成外科専門医は、形成外科領域における幅広い知識と練磨した技術を習得することはもちろん、同時に医学発展のための研究マインドを持ち、社会性と高い倫理性を備えた医師となり、標準的医療を安全に提供し国民の健康と福祉に貢献できるよう自己研鑚する使命があります。

上記目的と使命が達成できるように、専門研修プログラムでは基幹施設と地域医療研修施設の病院群で指導医のもとに研修が行なわれます。専門研修プログラムでは外傷、先天異常、腫瘍、瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド、難治性潰瘍、炎症・変性疾患、美容外科などについて研修することができます。

研修の一部には臨床系大学院を組み入れることもできます。また、Subspecialty領域専門医の研修準備をすることもできるよう配慮しています。更に、専門研修プログラムでは医師としての幅が広げられるよう、臨床現場から見つけ出した題材の研究方法,論理的な考察,統計学的な評価,論文にまとめ発表する能力の育成を行います。専門研修プログラム終了後には専門知識と診療技術を習得し、他の診療科とのチーム医療を実践できる能力を備えるとともに社会性と高い倫理性を持った形成外科専門医となります。

2.形成外科専門研修はどのように行われるのか

研修段階の定義

形成外科専門医は、初期臨床研修の2年間と専門研修(後期研修)の4年間の合計6年間の研修で育成されます。

  • 初期臨床研修2年間に自由選択により形成外科研修を選択することができますが、この期間をもって全体での6年間の研修期間を短縮することはできません。
  • 専門研修の4年間で、医師として倫理的・社会的に基本的な診療能力を身につけることと、日本形成外科学会が定める「形成外科領域専門研修カリキュラム」にもとづいて形成外科専門医に求められる専門技能の修得目標を設定します。それぞれの年度の終わりに達成度を評価したのち、専門医として独立し医療を実践できるまでに実力をつけていくように配慮します。具体的な評価方法は後の項目で示します。
  • 専門研修期間中に大学院へ進むことは可能です。臨床医学コースを選択して、臨床に従事しながら臨床研究を進めるのであれば、その期間は専門研修として扱われます。詳細は、22頁注記に規定されています。
  • Subspecialty領域専門医によっては、形成外科専門研修を修了し専門医資格を修得した年の年度初めに遡って、Subspecialty領域研修の開始と認める場合があります。
  • 専門研修プログラムの終了判定には、経験症例数が必要です。日本形成外科学会専門医制度が定める研修カリキュラムに示されている研修目標および経験すべき症例数を参照してください。(「形成外科研修の必要症例一覧表」を参照、Ⅰ-Ⅷの大項目ごとの症例数は必須。小項目の症例数は目標数) 

年次毎の専門研修計画

専攻医の研修は毎年の達成目標と達成度を評価しながら進められます。以下に年次毎の研修内容・修得目標の目安を示します。

  • 専門研修1年目(SR1)では、一般的な医師としての基本的診療能力、および形成外科の基本的知識と基本的技能の修得を目標とします。具体的には、医療面接・記録を正しく行うこと,診断を確定させるための検査を行うこと,局所麻酔方法、外用療法、病変部の固定方法、理学療法の処方を行うことなどを正しく行えるようになることを目標とします。さらに、学会・研究会への参加およびe-learningや学会が作成しているビデオライブラリーなどを通して自発的に専門知識・技能の修得を図ります。形成外科が担当する疾患は種類が多岐にわたり、頻度があまり多くない疾患もあるため、臨床研修だけでなく著書や論文を通読して幅広く学習する必要もあります。 
  • 専門研修2年目(SR2)では、専門研修1年目研修事項を確実に行えることを前提に、形成外科の手術を中心とした基本的技能を身につけていきます。研修期間中に1)外傷,2)先天異常,3)腫瘍,4)瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド,5)難治性潰瘍,6)炎症・変性疾患 などについて基本的な手術手技を習得します。
  • 専門研修3年目(SR3)では、マイクロサージャリーなどより高度な技術を要する手術手技を習得します。また、学会発表や論文作成を行うための基本的知識を身につけます。
  • 専門研修4年目(SR4)では、3年目までの研修事項をより深く理解し、自分自身が主体となって治療を進めていけるようにします。さらに、再建外科医として他科医師と協力の上、治療する能力を身につけます。また、言語・音声・運動能力などのリハビリテーションを他の医療従事者と協力の上、指示・実践する能力を習得します。

研修の週間計画および年間計画

基幹施設(弘前大学医学部附属病院)の研修医1名の週間予定を例として示します。


月曜日
時間午前時間午後
08:30~
09:00~
外来診察
教授回診
入院患者処置
13:00~入院患者処置
外来手術
他科再建手術
16:00~病棟回診
回診終了後術前症例の
イメージトレーニング

火曜日
時間午前時間午後
08:30~手術13:00~手術
09:00~入院患者処置15:00~病棟回診
16:00~抄読会
教室運営会議
症例検討会

水曜日
時間午前時間午後
08:30~
09:00~
外来診察
入院患者処置
13:00~入院患者処置
外来手術
他科再建手術
16:00~病棟回診
回診終了後術前症例の
イメージトレーニング

木曜日
時間午前時間午後
08:30~
09:00~
外来診察
入院患者処置
13:00~手術
16:00~病棟回診

金曜日
時間午前時間午後
08:30~
09:00~
外来診察
入院患者処置
13:00~入院患者処置
外来手術
他科再建手術
15:00~病棟回診
16:00~症例検討会
同週退院患者の退院サマリー作成
  • 火曜日と金曜日の16時から症例検討会を行っています。この中で手術症例に関しては術前の評価および術式の詳細に関して検討を行います。手術施行後の症例に対しては手術方法の報告と術中の問題点の検討、術後管理の注意点等についての検討を行います。入院患者に関しては主治医が経過報告をし、今後の治療方針を確認するとともに、問題点があれば今後の対策を検討します。外来患者の治療方針に関しては主治医が検討が必要と判断した症例に関して症例提示を行い、全員で治療方針に関して討論します。またその週に撮影された臨床写真、画像診断の画像を全員で供覧し所見や問題点を検討します。
  • 火曜日の16時30分からは抄読会を開催します。自分が興味をもったテーマに関する英語原著論文を精読し参加者全員にわかりやすいようにプレゼンテーションを行います。また執筆中の論文に関して疑問を抱いた点についても適宜プレゼンテーションを行い、全員で問題解決を図るようにしています。
  • hands-on-trainingとして積極的に手術の助手を経験します。その際に術前のイメージトレーニングと術後の詳細な手術記録を実行して下さい。
  • 基幹施設においては現在までに施行された手術全例の術中写真、あるいはビデオを保管しているためいつでも参照することが可能です。またマイクロサージャリー用顕微鏡や縫合のシミュレーターが教室内に設置されているためいつでも利用が可能です。

(専門研修プログラムに関連した全体行事の年間スケジュール)

4月

SR1:研修開始。研修医および指導医に提出用資料の配布(弘前大学ホームページ)。
SR2・SR3・SR4・研修終了予定者:前年度の研修目標達成度評価報告用紙と経験症例数報告用紙を提出
指導医・指導責任者:前年度の指導実績報告用紙の提出
日本形成外科学会学術集会および春期学術講習会への参加

6月

北日本形成外科学会への参加

8月

研修終了予定者:専門医申請書類請求開始(10月に締め切り。詳細は要確認)

10月

SR2・SR3・SR4:研修目標達成度評価報告用紙と経験症例報告用紙の提出(中間報告)
日本形成外科学会基礎学術集会および秋期学術講習会への参加

11月

研修終了予定者:専門医書類選考委員会の開催

12月

専門研修プログラム管理委員会の開催

1月

研修終了予定者:専門医認定審査(筆記試験、面接試験)

2月

北日本形成外科学会東北地方会への参加

3月

それぞれの年度の研修終了

3.専攻医の到達目標(習得すべき知識・技能・態度など)

青森県内で唯一の形成外科基幹施設である弘前大学には青森県内のあらゆる形成外科疾患が紹介されてきます。従って弘前大学では腫瘍や先天異常、他科再建をはじめあらゆる形成外科疾患を多く経験することが可能です。また専門研修連携施設、地域医療協力病院では外傷、炎症・変性疾患などを多く学ぶことができます。双方で研修することによりそれぞれの特徴を生かした症例や技能を広く学ぶことができます。

(当科の特徴)

  1. 顔面組織再建

当科では顔面外傷や腫瘍切除後の顔面組織再建に力を入れています。顔面組織再建においては植皮より局所皮弁による再建が優れており、当科ではAesthetic unitならびにAesthetic subunitを考慮した局所皮弁による顔面再建法を数多く開発してきました。またこれまで局所皮弁では再建困難であった比較的欠損の大きな症例も複数の局所皮弁を用いて再建し良好な結果を得ています。形成外科専門医として修得したい顔面組織再建を高いレベルで経験することが可能です。

  1. 唇・顎・口蓋裂の集学的治療

当科では、当科が診療の中心となり、耳鼻咽喉科,小児科,歯科,麻酔科などとチーム医療を行うことで、より高度で集学的な治療を行っています。先天異常は、手術後も成長とともに機能的,整容的変化が伴ってきます。患者さんのQuality of Life(生活の質)を常に高いレベルに維持するため、患者さん一人ひとりを長期にわたり他科と協力しながら診療しています。

  1. 難治性潰瘍の集学的治療

当科では褥瘡や糖尿病性潰瘍、末梢動脈疾患に伴う下肢潰瘍などの難治性潰瘍に対して他診療科、看護師、栄養士、理学療法士と共に行おこなうチーム医療の中で、保存的治療および外科的治療をおこなっています。特に末梢動脈疾患に伴う下肢潰瘍対しては循環器内科、血管外科、リハビリテーション科と連携した集学的治療を行っています。更には振動療法、水圧式ナイフ、陰圧閉鎖療法などのデバイスを用いた治療の他、エタノール硬化療法、埋込み植皮などの特殊外科治療などを用いた治療により良好な結果を得ています。

  1. 高度救命救急センターとの集学的治療

青森県内で唯一高度救命救急センターを有する弘前大学病院では、顔面多発外傷や重度熱傷など高度で専門的な治療が求められる症例を数多く受け入れています。また本院はヘリポートを備えており、青森県内はもちろん県外からの救急患者を受け入れ、このような患者に対して迅速かつ適切な治療を行っております。当科ではそのような重症症例に対しても対応できるよう、常に救命センターと連携をとって治療を行っています。

  1. 熱傷の集学的治療

当科は青森県内で数少ない重傷熱傷の全身管理、手術治療が可能な施設の1つであり、重傷熱傷患者の治療を専門的に行っています。患者の状態に合わせて救急救命センターのスタッフと連携しながら全身管理、手術治療の計画を立て治療にあたっています。手術に際しては一回の手術侵襲を少なくする工夫を行い、培養表皮移植、人工真皮移植、線維芽細胞増殖因子などを組み合わせた集学的治療により救命率の向上を図っています。また救命後のリハビリテーションや瘢痕拘縮、肥厚性瘢痕等の後遺症に対しても積極的に治療を行い社会復帰をサポートしています。

  1. 頭頸部再建などの他科再建におけるチーム医療

当科では複数の診療科と合同で治療を行うチーム医療において多くの診療科と協力しながら集学的治療を行っています。最も多いのは耳鼻科、脳外科、眼科、歯科口腔外科、消化器外科などと協力する頭頸部ならびに食道悪性腫瘍の治療であり、腫瘍切除後再建を担当しています。マイクロサージャリーを用いたこれら再建では吻合後の血管開存率が高く安定した成績が得られています。また当院で行っている生体部分肝移植においては肝動脈吻合を担当し治療に貢献しています。その他乳がん術後の乳房再建では自家組織を用いた再建の他、エキスパンダー、インプラント実施施設認定を取得しインプラントによる再建も行っています。その他泌尿器科、婦人科と連携した会陰部再建、心臓血管外科と連携した縦隔炎の治療など多くの診療科との協力体制が整っています。


また、専門研修プログラムでは地域医療の研修が可能です。
具体的な到達目標を以下に示します。

  1. 専門知識

専攻医は専門研修プログラムに沿って1)外傷,2)先天異常,3)腫瘍,4)瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド,5)難治性潰瘍,6)炎症・変性疾患,7)美容外科について広く学ぶ必要があります。専攻医が習得すべき年次ごとの内容については「形成外科領域専門研修カリキュラム」を参照してください。

  1. 専門技能

形成外科領域の診療を①医療面接②診断③検査④治療⑤偶発症に留意して実施する能力の開発に務める必要があります。それぞれの具体的内容、年次ごとの内容については「形成外科領域専門研修カリキュラム」を参照してください。

  1. 経験すべき疾患・病態

形成外科領域の診療を①医療面接②診断③検査④治療⑤偶発症に留意して実施する能力の開発に務める必要があります。それぞれの具体的内容、年次ごとの内容については「形成外科領域専門研修カリキュラム」を参照してください。

  1. 経験すべき診察・検査

「形成外科領域専門研修カリキュラム」を参照

  1. 経験すべき手術・処置

「形成外科領域専門研修カリキュラム」を参照

  1. 地域医療の経験

地域医療の経験を必須とします。専門研修プログラムには、青森労災病院、弘愛会病院などその地域の拠点となっている施設(診療圏が異なる地域を含む)が地域医療協力病院になっています。したがって、研修中に3ヶ月以上の期間で地域医療を学ぶことが可能です。弘愛会病院には形成外科指導医が常勤として勤務していますし、青森労災病院においては常勤の形成外科医が勤務しており、基幹病院の指導医と綿密に連絡を取り合いながら指導にあたります。その内容については、以下の通りです。

  • 形成外科におけるプライマリケアの実践
  • 広範囲熱傷や顔面多発外傷など重度外傷における医療連携
  • 当直業務における時間外患者や急患の対応
  • 褥瘡の在宅治療
  • 開業医との病診連携や講演会などでの交流
  • その他

4. 各種カンファランスなどによる知識・技能の習得

  • 基幹施設において、スタッフによる治療および管理方針の症例検討会を行います。専攻医はその場で積極的に意見を述べ、上級医だけでなく同僚や後輩の意見を聞くことにより、具体的な治療方法や管理方法を自ら考えていくことができるようにします。
  • 他科との合同カンファランス、頭頸部腫瘍の治療に対する耳鼻科とのカンファランスや乳がん治療における乳腺外科とのカンファランスなど、それぞれの疾患に関わる他科との協力のもと治療を進める課程を学んでいきます。
  • Cancer Board:複数の臓器にまたがる疾患症例,内科疾患の合併を有する症例,非常にまれで標準治療がない症例などの治療方針決定について、各科医師や緩和スタッフおよび看護スタッフなどによる合同カンファランスを行います。
  • 専攻医・若手専門医による研修発表会を年間に数度大学内の施設を用いて行い、発表内容,スライド資料の良否,発表態度などについて、指導的立場の医師や同僚や後輩から質問を受けて検討を行います。
  • 基幹施設において抄読会や勉強会を実施します。専攻医は学術誌だけでなく、インターネットなどを利用して最新の情報検索を行います。
  • 手術手技をトレーニングする設備,教育DVD,学会が提供するインターネット上のコンテンツなどを用いて積極的に手術手技を学びます。
  • 日本形成外科学会の学術集会(特に学術講習会),日本形成外科学会地方会,日本形成外科学会が承認する関連学会,日本形成外科学会が提供するe-learningなどで下記の事項を学んでいきます。病院内で実施される講習会にも参加してください。

☆標準的医療および今後期待される先進的医療
☆医療安全、院内感染対策
☆指導法、評価法などの教育技能

5.学問的姿勢について

指導医は専攻医が研修目的を達成できるよう指導しますが、専攻医も自らの診療内容を常にチェックし、研鑚、自己学習し、知識を補足することが求められます。知識としてEvidence-Based Medicine(以下EBM)は当然その基礎となります。専門研修プログラムでは症例に関するカンファランスが設定されていますが、これに積極的に参加し、呈示と討論ができるようにしてください。専攻医は受け持ち患者についての疑問を提示し、同僚や指導医から提示された疑問については、EBMに沿って批判的吟味を行う姿勢が重要です。次に、日常の診療から疑問に思ったことを研究課題とし、参考文献を資料として研究方法を組み立て、結果をまとめ、論理的、統計学的な正当性を持って評価、考察する能力を養うことが大切です。そして、専攻医は学会に積極的に参加し、その成果を発表する姿勢を身に付けてください。

 専門研修プログラム終了後に形成外科領域専門医資格を受験するためには以下の条件を充足する必要があります
(22頁注記も参照)。

  1. 6年以上の日本国医師免許証を有するもの。
  2. 臨床研修2年の後、学会が推薦し機構の認定を受けた専門研修基幹施設あるいは専門研修連携施設において通算4年以上の形成外科研修を終了していること。ただし、専門研修基幹施設での最低1年の研修を必要とします。
  3. 研修期間中に直接関与した300症例(うち80症例以上は術者)および申請者が術者として手術を行った10症例についての所定の病歴要約の提出が必要です。
  4. 日本形成外科学会主催の講習会受講証明書を4枚以上有すること。
  5. 少なくとも1編以上の形成外科に関する論文を筆頭著者として発表しているもの。(発表誌は年2回以上定期発行され、査読のあるものに限ります)

また、専門医資格の更新には診療実績の証明、専門医共通講習、診療領域別講習、学術業績・診療以外の活動実績など5年間に合計50単位の取得が求められます。

6.医師に必要なコアコンピテンシー、倫理性、社会性などについて

専攻医は、医師として自己管理能力を身につけ、生涯にわたり基本的診療能力(コアコンピテンシー)を涵養する努力が必要です。基本的診療能力には領域の知識・技能だけでなく、態度,倫理性,社会性などが含まれます。指導医と共にプロフェッショナルを目指しましょう。以下に専門研修プログラムでの具体的な目標、方法を示します。

  1. 医師としての責務を自律的に果たし、患者に信頼されるコミュニケーション能力

領域における専門的知識・技能を身につけ、診断能力を高めることはプロフッショナルとして当然です。さらに疾患について説明できるだけでなく、相手の立場になって聞くことができ疑問に答えられなければ信頼を得ることは出来ません。分からないことは、誠意をもって調べて回答しましょう。形成外科領域では治療方法が手術となることが多く、その必要性,危険性,合併症とその対策,予後,術後の注意点などについて、医師や患者・家族がともに納得できるようなインフォームドコンセントについて指導医のもとで学習し、実践します。また、治療経過や結果について的確に把握し、患者に説明できなければなりません。治療期間や治療費についても精通しておく必要があります。

  1. 患者・社会との契約を理解し実践できる能力

健康保険制度を理解し、保険医療をメディカルスタッフと協調して実践します。そのためには、医療行為に関する法律を理解し遵守しなければなりません。それらに基づきすべての医療行為や患者に行った説明などを書面化し、管理しなければなりません。診断書・証明書などを作成や管理することも重要です。また、医薬品や医療用具による健康被害の発生防止の理解と適切な行動が求められます。これらのすべてにおいて守秘義務を果たし、プライバシーへの配慮ができなければなりません。原則として、家族に話す内容は事前に患者の同意を得ておくべきです。

  1. 医療安全を理解し、チーム医療が実践できる能力

保存療法,手術療法,その他医療行為のすべてにおいて医療安全の重要性を理解し、事故防止や事故後の対応がマニュアルに沿って実践できることが求められます。専門研修プログラムでは、施設における医療安全に関する講習会や感染対策に関する講習会にそれぞれ最低1年に2回は出席することが義務づけられています。これらの講習会は、日本形成外科学会でも開催されており、積極的に参加し日常の診療にフィードバックすることが大切です。また、チーム医療が多いことは形成外科の大きな特徴であり、他の医療従事者と良好な関係を構築し協力して患者の診療にあたることが重要です。臨床の現場から疑問に思うことや今社会が医療に求めていることを自ら感知し、研究する姿勢が大切であり、その態度が後輩の模範となるよう努めます。チーム医療の一員として指導医のもとに患者を受け持ち、学生や後輩医師の教育、指導も積極的に行います。もちろん専攻医自身もチームの一員として様々なメンバーから指導を受けることができます。

  1. 問題対応能力と提示できる能力

指導医は専攻医が、専門医として独り立ちできるよう努めますが、独り立ちとは通り一遍のことができるようになるということではありません。臨床上の疑問点を解決するための情報を自ら収集および評価し、患者への対応を実践します。EBMは、当然その基礎となります。専門研修プログラムでは、症例に関するカンファランスが設定されていますが、これに積極的に参加し、呈示と討論ができるようにしてください。専攻医は受け持ち患者についての疑問を提示し、同僚や指導医から提示された疑問についてはEBMに沿って批判的吟味を行うことが重要です。また、臨床研究や治験の意義を理解し、参加する姿勢も大切です。

7.施設群による専門研修プログラムおよび地域医療についての考え方

  1. 施設群による研修

本研修プログラムは弘前大学形成外科を基幹施設とし、弘愛会病院を専門研修連携施設としています。また弘愛会病院と青森労災病院が地域医療研修施設となっています。青森県内には形成外科のある施設が少ないため、青森県内ならびに周辺地域の形成外科疾患の多くが基幹施設である弘前大学形成外科に紹介されてきます。このため本研修プログラムでは、多くの施設群を組むプログラムでおこりうる各施設間の分野や症例数の差や、大学での研修においてCommon Diseaseの経験が不十分となるというようなことがなく、幅広い疾患を基幹施設の中で経験することが可能です。また専門研修連携施設である弘愛会病院では外傷や皮膚腫瘍といった疾患を多く経験することが可能です。
 一方で現在弘前大学形成外科では医師が増加傾向に有り、近い将来指導医の常勤する連携施設が新設される予定になっています(青森市立市民病院、むつ総合病院、つがる総合病院など)。連携施設が新設され施設群が形成されれば、通常の施設群での研修プログラムで予定される研修方法、すなわち基幹病院では重症例や稀な疾患、他診療科との再建手術など特色のある症例を経験すると共に、リサーチマインドを涵養する姿勢を身に付け、地域の連携病院では多彩な症例を多数経験することで医師としての基本的な力を獲得するといった研修が可能となる予定です。

  1. 地域医療の経験

臨床においては、診断名からだけではなく患者の社会的背景や希望も考慮に入れた上で治療方針を選択し、患者に医療を提供する必要があります。その点において地域の連携病院では、責任を持って多くの症例の診療にあたる機会を経験することができます。また、褥瘡や足病変など形成外科における慢性的な疾患の治療においては、地域医療との連携が不可欠となります。形成外科を中心とした地域医療に貢献するためには、総合的な治療マネージメント能力が要求されるため、臨床能力の向上を目的とした地域医療機関における外来診療や地域連携とのコミュニケーションも含めた勉強会や講演会に積極的に参加する必要があります。

8.専門研修プログラムの施設群について

(専門研修基幹施設)

弘前大学形成外科が専門研修基幹施設となります。(研修プログラム責任者:1名,指導医:4名,症例数:約600例)

(専門研修連携施設)

弘愛会病院が専門研修連携施設となります。(指導医:1名,症例数:約500例)

(地域医療施設)

青森労災病院、弘愛会病院

(専門研修施設群)

弘前大学形成外科と専門研修連携施設、地域医療施設により専門研修施設群を構成します。

(専門研修施設群の地理的範囲)

弘前大学形成外科専門研修プログラムの専門研修施設群は青森県内の施設群です。
また施設群の中には、地域中核病院も含まれます。

(専攻医受入数)

弘前大学で、症例のデータベースをもとに1年間で専攻医の教育可能な人数を算出すると、最も効率的に行った場合で約5名が1年間に教育可能な人数となります。

弘前大学病院形成外科の専攻医は4年間で20名の有給雇用枠が確保されています。

また、指導医の数は専門研修プログラム施設群全体で3名となります。

そのため、弘前大学の専攻医受入数は1年間に最大5名となり、募集は2名としています。従って弘前大学形成外科専門研修プログラム施設群の症例数は十分に確保されており、多くの症例を経験することができます。

 なお、本プログラムにおける指導者の異動なども今後考えられますが、弘前大学においては今後4年間の間に1名が新たに指導医の資格を得る(専門医取得後1回の更新を行う)予定であるため、指導体制に不足は生じない見込みです。

9.施設群における専門研修コースについて

形成外科領域専門研修カリキュラムでは、到達目標の達成時期や症例数を1年次から4年次まで項目別で設定しています。しかし実際には、各施設の症例数や人事異動などでその時期が前後すると予測されます。そのため、設定した年次はあくまで目安であり、4年次までにすべての到達目標を達成することを最終目標とした上で、基幹施設と専門研修連携施設、地域医療施設で連携しながら専門研修コースを設定していく必要があります。

  1. 各年次の目標

(専門研修1年目)

医療面接・記録:病歴聴取を正しく行い、診断名の想定・鑑別診断を述べることができる。
検査:診断を確定させるための検査を行うことができる。
治療:局所麻酔方法、外用療法、病変部の固定法、理学療法の処方を行うことができる。基本的な外傷治療、創傷治療を習得する。
偶発症:考えられる偶発症の想定、生じた偶発症に対する緊急的処置を行うことができる。

(専門研修2年目)

専門研修1年目研修事項を確実に行えることを前提に、形成外科の手術を中心とした基本的技能を身につけていく。研修期間中に 1)外傷,2)先天異常,3)腫瘍,4)瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド,5)難治性潰瘍,6)炎症・変性疾患,7)その他 について基本的な手術手技を習得する。

(専門研修3年目)

マイクロサージャリーなどより高度な技術を要する手術手技を習得する。また、学会発表・論文作成を行うための基本的知識を身につける。

(専門研修4年目)

3年目までの研修事項をより深く理解し、自分自身が主体となって治療を進めていけるようにする。さらに、再建外科医として他科医師と協力の上、治療する能力を身につける。また、言語、音声、運動能力などのリハビリテーションを他の医療従事者と協力の上、指示、実施する能力を習得する。

  1. 4年間での手術経験数および執刀数

基幹施設と連携施設を合わせた研修施設群全体について、専攻医1名あたり4年間で最低300例(内執刀数80例)の経験(執刀)症例数を必要とします。(手術内容の内訳は2.の一覧表を参照)

  1. 専門研修ローテーション

弘前大学および2つの専門研修連携施設、地域医療施設で、すべての形成外科専門医カリキュラムを達成することを目標にします。

(ローテーションの一例)

専門研修1〜2年目:弘前大学形成外科(2年)

専門研修3年目:弘愛会病院(1年)

専門研修4年目: 弘前大学形成外科(6ヶ月)、青森労災病院(6か月)

  • 専攻医は週1回の弘前大学カンファランス(症例検討会)に参加し、症例を検討することによって、形成外科のあらゆる分野の知識や技術を幅広く習得することができます。
  • 弘前大学研修期間中には、臨床だけでなく基礎実験の助手など基礎研究に携わることによって、早期からからリサーチマインドを育てていきます。また、症例報告などの論文作成を行い、論文作成能力の向上を図っていきます。

10.専門研修の評価について

  1. 専門研修中の専攻医と指導医の相互評価は施設群による研修と共に専門研修プログラムの根幹となるものです。専門研修の1年目から4年目までのそれぞれに、基本的診療能力と形成外科専門医に求められる知識・技能の習得目標を設定し、その年度の終わりに達成度を評価します。このことにより、基本から応用へ、さらに専門医として独立して実践できるまで着実に実力をつけていけるように配慮しています。
  • 指導医は日々の臨床の中で専攻医を指導します。
  • 専攻医は経験症例数・研修目標達成度の自己評価を行います。
  • 指導医も専攻医の研修目標達成度の評価を行います。
  • 医師としての態度についての評価には、自己評価に加えて、指導医による評価、施設の指導責任者による評価、看護師長などの他職種による評価が含まれています。
  • 専攻医は毎年9月末(中間報告)と3月末(年次報告)に所定の用紙を用いて経験症例数報告書及び自己評価報告書を作成し、指導医はそれに評価・講評を加えます。「専攻医研修実績フォーマット」を用いて行います。
  • 指導責任者は「専攻医研修実績フォーマット」を印刷し、署名・押印したものを専門研修プログラム管理委員会に提出します。「専攻医研修実績フォーマット」は、6ヶ月に一度、専門研修プログラム委員会に提出します。自己評価と指導医評価、指導医コメントが書き込まれている必要があります。「専攻医研修実績フォーマット」の自己評価と指導医評価、指導医コメント欄は6ヶ月ごとに上書きしていきます。

4年間の総合的な修了判定は研修プログラム統括責任者が行います。この修了判定

を得ることができてから専門医試験の申請を行うことができます。

  1. 指導医のフィードバック法の学習(FD)

指導医は日本形成外科学会が主催する、あるいは日本形成外科学会の承認のもとで主催される形成外科指導医講習会において、フィードバックの方法についての講習を受けます。指導医講習会の受講は、指導医認定や更新のために必須です。

11.専門研修管理委員会について

専門研修基幹施設と各専門研修連携施設の各々において、形成外科領域指導医から選任されたプログラム責任者を置きます。専門研修基幹施設においては、各専門研修連携施設を含めたプログラム統括責任者を置きます。

専門研修基幹施設には、専門研修基幹施設と各専門研修連携施設のプログラム責任者より構成される専門研修プログラム管理委員会を置き、プログラム統括責任者がその委員会の責任者となります。専門研修基幹施設は、専門研修プログラム管理委員会を中心として専攻医と連携施設を統括し、専門研修プログラム全体の管理を行い専攻医の最終的な研修修了判定を行います。

専門研修プログラムには、各連携施設が研修のどの領域を主に担当するか(例えば形成外科一般,小児治療,癌治療,熱傷治療,美容など)を明示し、専門基幹施設が専門研修プログラム管理委員会を中心として、専攻医の連携施設での研修計画、研修環境の整備・管理を行います。

専門研修連携施設においては、指導専門医と形成外科領域専門医より構成する専門研修プログラム管理委員会を置き、指導専門医から選任された専門研修プログラム連携施設担当者が委員会の責任者となります。

専門研修基幹施設と各専門研修連携施設の各々において、領域指導医と施設責任者の協力により定期的に専攻医の評価を行い、また専攻医による領域指導医・指導体制に対する評価も行います。これらの双方向の評価を専門研修プログラム管理委員会で検討し、プログラムの改善を行います。

12.専門医の就業環境について

研修施設責任者とプログラム統括責任者は、専攻医の適切な労働環境の整備に努め、また専攻医の心身の健康維持に配慮し、これに関する責務を負います。

 専攻医の安全及び衛生並びに災害補償については、労働基準法や労働安全衛生法及び学校保健法に準じます。給与(当直業務給与や時間外業務給与を含めて)、福利厚生(健康保険、年金、住居補助、健康診断など)、労働災害補償などについては、各研修施設の処遇規定、就業規則に従いますが、これらが適切なものであるかにつき研修プログラム管理委員会がチェックを行います。育児休暇や介護休暇に関しては、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に準じます。

当直あるいは時間外業務に対しては、各研修施設において専門医や指導医のバックアップ体制を整えます。専攻医の服務時間は、1か月単位の変形労働時間を準用し、1か月を平均して1週間あたり40時間の範囲内において定めるものとしますが、専門研修を行う施設の実態に応じて変更できるものとします。

13.専門研修プログラムの改善方法

弘前大学形成外科専門研修プログラムでは専攻医からのフィードバックを重視して専門研修プログラムの改善を行うこととしています。

  1. 専攻医による指導医および研修プログラムに対する評価

専攻医は、年次毎に指導医,専攻医指導施設,専門研修プログラムに対する評価を行います。また、指導医も専攻医指導施設や専門研修プログラムに対する評価を行います。専攻医や指導医等からの評価は、専門研修プログラム管理委員会に提出され研修プログラム管理委員会は専門研修プログラムの改善に役立てます。このようなフィードバックによって、専門研修プログラムをより良いものに改善していきます。
専門研修プログラム管理委員会は必要と判断した場合、専攻医指導施設の実地調査および指導を行います。評価にもとづいて何をどのように改善したかを記録し、毎年日本形成外科学会及び日本専門医機構に報告します。

  1. 研修に対する監査(サイトビジット等)・調査への対応

専門研修プログラムに対して、日本専門医機構からサイトビジット(現地調査)が行われます。その評価にもとづいて、専門研修プログラム管理委員会で研修プログラムの改良を行います。専門研修プログラム更新の際には、サイトビジットによる評価の結果と改良の方策について日本形成外科学会及び日本専門医機構に報告します。

14.修了判定について

専門研修4年終了時あるいはそれ以降に、専門研修プログラムに明記された達成到達基準を基に、研修期間が基準に満たしていることを確認し、知識,技能,態度それぞれについて評価を行い、知識,技能,態度に関わる目標の達成度を総括的に把握し、専門研修基幹施設の専門研修プログラム管理委員会において、総合的に終了判定の可否を決定します。知識,技能,態度のひとつでも欠落する場合は専門研修終了と認めません。

そして、専門研修プログラム管理委員会の責任者であるプログラム統括責任者が、専門研修プログラム管理委員会における評価に基づいて、専攻医の最終的な専門研修修了判定を行います。

15.専攻医が専門研修プログラムの修了に向けて行うべきこと

(修了判定のプロセス)

専攻医は「専攻医研修実績フォーマット」と「医師としての適性評価シート」を専門医認定申請年の4月末までに専門研修プログラム管理委員会に送付します。専門研修プログラム管理委員会は5月末までに修了判定を行い、研修証明書を専攻医に送付します。専攻医は日本専門医機構の形成外科専門医委員会に専門医認定試験受験の申請を行います。

(他職種評価)

専攻医は病棟の看護師長など少なくとも医師以外のメディカルスタッフ1名以上からの適正評価も受ける必要があります。

16.Subspecialty領域との連続性について

日本専門医機構形成外科専門医を取得した医師は、形成外科専攻医としての研修期間以後にSubspecialty領域の専門医のいずれかを取得することが望まれます。現在Subspecialty領域の専門医には、日本形成外科学会認定の皮膚腫瘍外科特定分野指導医と日本形成外科学会認定の分野指導医として日本創傷外科学会認定の創傷外科専門医,日本頭蓋顎顔面外科学会認定の頭蓋顎顔面外科専門医,日本熱傷学会認定の熱傷専門医,日本手外科学会認定の手外科専門医,日本美容外科学会(JSAPS)認定の美容外科専門医がありますが、今後拡大していく予定です。

17.形成外科研修の休止・中断、プログラム移動、プログラム研修の条件

  1. 専門研修プログラム期間のうち、出産に伴う1年以内の休暇は1回までは研修期間にカウントできる。 
  2. 疾病での休暇は1年まで研修期間をカウントできる。
  3. 疾病の場合は診断書を、出産の場合は出産を証明するものの添付が必要である。
  4. 留学、診療実績のない大学院の期間は研修期間にカウントできない。
  5. 専門研修プログラムの移動は、認定施設認定委員会に申請の上、日本専門医機構の承認が必要であり、移動前・後のプログラム統括責任者と協議した上で決定する。
  6. その他は、22頁注記参照のこと。

18.専門研修プログラム管理委員会

専門研修基幹施設に専門研修基幹施設と各専門研修連携施設のプログラム責任者より構成される専門研修プログラム管理委員会を置き、専門研修プログラムと専攻医を統括的に管理します。

(専門研修プログラム管理委員会の役割と権限)

専門研修プログラム管理委員会は、専門研修基幹施設と各専門研修連携施設のプログラム責任者の緊密な連絡のもとに、専門研修プログラムの作成やプログラム施行上の問題点の検討や再評価を継続的に行います。また、各専攻医の統括的な管理(専攻医の採用や中断,専門研修基幹施設や専門研修連携施設での研修計画や研修進行の管理,学習機会の確保,研修環境の整備など)や評価を行います。更に、各専門研修連携施設において適切に専攻医の研修が行われているかにつき各専門研修連携施設を評価して、問題点を検討し改善を指導します。

(プログラム統括責任者)

プログラム統括責任者は、専門研修プログラム管理委員会の責任者であり、専門研修プログラムの管理・遂行や専攻医の採用・終了判定につき最終責任を負います。またプログラム統括責任者は、専門研修プログラム管理委員会における評価に基づいて、専攻医の最終的な研修修了判定を行い、その資質を証明する書面を発行します。

(副プログラム統括責任者)

20名を越える専攻医を持つ場合は、副プログラム統括責任者を置き、副プログラム統括責任者はプログラム統括責任者を補佐します。

(専門研修連携施設での委員会組織)

専門研修連携施設においては、指導専門医と形成外科領域専門医より構成する専門研修プログラム管理委員会を置き、指導専門医から選任された専門研修プログラム連携施設担当者が委員会の責任者となります。

専門研修連携施設での委員会の責任者である専門研修プログラム連携施設担当者は、専門研修基幹施設と各専門研修連携施設のプログラム責任者より構成される専門研修プログラム管理委員会の一員として、専門研修プログラム管理委員会における役割を遂行します。

専門研修連携施設の専門研修プログラム管理委員会は、専門研修連携施設におけるプログラムの作成・管理・改善を行い、また各専攻医の管理(専門研修連携施設での研修計画や研修進行の管理、学習機会の確保、研修環境の整備など)や評価を行ないます。

19.専門研修指導医

指導医の基準については、指導医は一定の基準を満たした専門医であり、専攻医を指導し評価を行います。

20.専門研修実績記録システム、マニュアル等について

研修実績および評価の記録については、「専攻医研修実績フォーマット」に研修実績を記載し、指導医による形成的評価、フィードバックを受けます。総括的評価は形成外科研修カリキュラムに則り、少なくとも年1回行います。

弘前大学形成外科にて、専攻医の研修履歴(研修施設,期間,担当した専門研修指導医),研修実績,研修評価を保管します。さらに専攻医による専門研修施設および専門研修プログラムに対する評価も保管します。

専門研修プログラム運用マニュアルは以下の専攻医研修マニュアルと指導者マニュアルを用います。

  • 専攻医研修マニュアル
  • 指導者マニュアル
  • 専攻医研修実績記録フォーマット

「専攻医研修実績フォーマット」に研修実績を記録し、一定の経験を積むごとに専攻医自身が形成的評価を行い記録してください。少なくとも1年に1回は「専攻医研修実績フォーマット」を用いて、医師としての基本姿勢,診療態度・チーム医療,担当した入院患者の疾患・症例,経験すべき症状への対応,経験した手技について形成的自己評価を行ってください。研修を修了しようとする年度末には総括的評価により評価が行われます。

  • 指導医による指導とフィードバックの記録

専攻医自身が自分の達成度評価を行い、指導医も形成的評価を行って記録します。
少なくとも1年に1回は「専攻医研修実績フォーマット」を用いて、医師としての基本姿勢,診療態度・チーム医療,担当した入院患者の疾患・症例,経験すべき症状への対応,経験した手技について形成的評価を行い、評価者は「劣る」、「やや劣る」の評価を付けた項目については必ず改善のためのフィードバックを行い記録し、翌年度の研修に役立たせます。

21.研修に対するサイトビジット(訪問調査)について

専門研修プログラムに対して、日本形成外科学会または日本専門医機構からのサイトビジットがあります。サイトビジットにおいては、研修指導体制や研修内容について調査が行われます。その評価は、専門研修プログラム管理委員会に伝えられ、専門研修プログラムの必要な改良を行います。

22.専攻医の採用と修了

(採用方法)

弘前大学形成外科専門研修プログラム管理委員会は、毎年7月から説明会等を行い、形成外科専攻医を募集します。専門研修プログラムへの応募者は、9月30日までに専門研修プログラム責任者宛に所定の形式の「形成外科専門研修プログラム応募申請書」と履歴書を提出してください。申請書は(1)電話で問い合わせ(0172-39-5119), (2)e-mailで問い合わせ(prs@hirosaki-u.ac.jp)、のいずれの方法でも入手可能です。原則として10月中に書類選考および面接を行い、採否を決定して本人に文書で通知します。応募者および選考結果については12月の弘前大学形成外科専門研修プログラム管理委員会において報告します。

(研修開始届け)

研修を開始した専攻医は、各年度の4月20日までに「弘前大学形成外科専門研修開始届」を弘前大学形成外科専門研修プログラム管理委員会(prs@hirosaki-u.ac.jp)に提出します。同委員会はその後速やかに開始届を日本形成外科学会に提出し、機構への登録を行います。

(修了要件)

下記注記ならびに日本形成外科学会専門医制度細則を参照のこと。

注記

研修の条件


研修期間

形成外科専門研修は 4 年以上とする。但し義務化された臨床研修期間中の形成外科研修は含まない。この規定は第 98 回日本国医師国家試験合格者以降の者に適用する。それに該当しない者については、これと同等以上の形成外科研修を終了したと専門医認定委員会が認定したものは可とする。 ただし、大学院生、時短勤務者や非常勤医などの研修期間に関しては、週 32 時間(ただし 1 日 8 時間以内) 以上形成外科の臨床研修に携わったものはフルカウントできる。なお、臨床研修が週32時間に満たなくとも、機構の形成外科領域研修委員会が認めた場合には、勤務時間に応じて分数でのカウントもあり得る。研修の実状は当該科の所属長、または施設長が責任をもって認定する。なお、申請内容に疑義が生じた場合、専門委員会で審議することがある。